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関節リウマチ(RA)

30代から好発する関節リウマチ(RA)とは

関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、全身の関節に炎症が発生し、腫れや痛みなどの症状を引き起こします。悪化に伴って関節が徐々に変形・破壊され、日常生活の様々な動作に支障を及ぼします。30~50代で好発する疾患とされていましたが、最近は60歳代での発症が増えています。小児で発症することもあります。比較的女性によく認められます。

発症21年(十分な治療が出来なかった場合)

発症21年(十分な治療が出来なかった場合)

初期症状

次のような症状が関節リウマチの初期に現れることがあります。

  • 微熱
  • 倦怠感、身体が重く感じる
  • 食欲不振、体重減少
  • 朝の手のこわばり

主な症状

進行に伴い次に示すような症状が起こります。

  • 肩や肘、手首、手指、膝、足首、足指などの関節の腫れや痛み
  • 手足のこわばり(起床時に強く感じます)

関節リウマチが起こりやすい部位

関節リウマチでは、手足の関節を中心に症状が現れ、左右対称に起こる傾向があります。

関節リウマチの原因

関節リウマチは自己免疫疾患の一種です。本来身体を守るはずの免疫が関節の内側を覆う滑膜を攻撃することで炎症が発生しますが、この自己免疫が起こるきっかけは明確になっていません。

発症のきっかけ

関節リウマチは、幾つかの遺伝的要素が重なり、そこに環境要因(ウイルス感染、ストレス、喫煙など)による刺激が加わることで発症すると考えられています。

サイトカインという物質により炎症が悪化します

関節リウマチでは、炎症反応を促すサイトカイン(IL-6やTNFαなど)という物質の分泌が増加し、炎症が悪化していきます。関節リウマチの薬物療法で用いる生物学的製剤は、サイトカインの働きを抑える作用があります。

30~50代の女性によく起こります

日本国内では、関節リウマチの新規発症数が毎年15,000人ほどいます。30~50代での発症が多いとされていましたが、最近は発症のピークが60歳代になっています。小児で発症することもあります。また、女性の方が男性よりも3倍ほど発症率が高くなっています。
30~50代の女性は、家事や育児、仕事、介護などで忙しくされていることが多く、初期は自覚症状が乏しいため、検査・治療の開始が遅れてしまうことも多いです。少しでも気になる症状がありましたら、お早めに当院をご受診ください。当院では日本リウマチ学会専門医の院長が丁寧に診療を行っております。

リウマチになりやすい人はいる?

女性

女性は男性よりも3倍ほど発症率が高くなっています。関節リウマチは女性ホルモンと関係が深く、妊娠・出産をきっかけに女性ホルモンが大きく変動するためと考えられています。

30~50代

関節リウマチは、10~60代まで様々な年代で発症リスクがありますが、最近は発症のピークが60歳代になっています。小児も発症することがあり、若年性特発性関節炎(JIA)といいます。

喫煙者

関節リウマチには環境要因があり、喫煙も含まれます。実際、喫煙者は非喫煙者に比べて発症リスクが高まるという研究結果も出ています。また、間質性肺炎の合併リスクも高まるため、禁煙に取り組みましょう。

遺伝

関節リウマチは、幾つかの遺伝的要素が重なり、そこに環境要因(ウイルス感染、ストレス、喫煙など)による刺激が加わることで発症すると考えられています。

リウマチの検査

問診を行い、その後血液検査やレントゲン検査などを実施して、これらの結果から総合的に診断します。また、関節リウマチは初期段階では骨の変形や破壊が起こっていないことが多く、その場合は超音波検査やMRI検査を行います。超音波検査は炎症の有無を調べるのに有効です。

超音波検査(US)で見られる関節リウマチ(RA)の異常血流像

超音波検査(US)で見られる関節リウマチ(RA)の異常血流像

関節リウマチの治療

薬物療法

関節リウマチの治療は薬物療法が中心となり、抗リウマチ薬によって免疫異常を改善します。必要に応じて、経口抗リウマチ薬から始め、さらに生物学的製剤、JAK阻害薬を使用し、炎症による腫れや痛みを改善します。通常の痛み止めなどを併用することもあります。

リハビリテーション

痛みの緩和や機能の改善にはリハビリテーションも効果的です。筋力トレーニングや可動域訓練などを実施します。

手術

薬物療法やリハビリテーションを行っても十分な改善がみられない場合は、関節の変形を矯正する手術や人工関節手術などを検討することがあります。

リウマチは完治する?

当然ながら、治療を行う場合は患者さんも医師も「完治」を目指します。炎症が軽度であれば完治(通院・投薬が必要ない状態)も望めますが、リウマチにおいては完治が難しいケースが多く、そのため、まずは通院や投薬により症状が治まった状態が続く「寛解」を目標に治療を実施していきます。

リウマチは寿命を縮める?

リウマチを発症して治療をしないと、発症していない方よりも寿命が10年短くなると言われています。リウマチの炎症が全身で持続すると、全身の血管障害が進行し、心臓血管系の疾患(循環器疾患)(脳卒中、心筋梗塞、大動脈瘤、等)のリスクが高まります。これが原因で命を落とすこともあります。痛みや筋力の低下に伴って喀痰が困難になり、肺炎などの合併症が起こりやすくなります。
また、全身の骨の変性変形・破壊が進むことで歩行困難・車いす・寝たきりとなるリスクが高まります。
深刻な状態にならないためにも、早期診断・早期治療が大切です。

リウマチを発症した場合に注意すべきこと

喫煙

関節リウマチの発症要因の一つに喫煙が含まれます。喫煙は発症に関与するだけでなく、治療効果への影響や関節破壊の進行、肺炎の合併リスクを高めますので、禁煙に取り組みましょう。

ストレスを溜める

ストレスも関節リウマチの発症・悪化要因になります。ストレスを完全になくすことは困難ですが、なるべくストレスが溜まらないように環境を見直したりリラックスできる時間を設けたりしましょう。

過労

「病は気から」と言い伝えられていますが、無理に働くなどして疲れを溜め込んでしまうと、関節リウマチの発症・悪化を招きます。無理して働いている状態が続いている方は、働き方を見直してみましょう。

過度な安静

1日中寝ていたり座ったりしていると、筋力の低下や関節の拘縮を招く恐れがあります。
医師や理学療法士と相談しながら、適度な運動を行うようにしましょう。

過度な運動

過度な運動は症状の悪化を招きます。また、運動することが嫌にもなってしまいます。
特に、強い症状を示す急性期は激しい運動は控えましょう。

サイズ・幅が合わない靴を履く

関節リウマチは悪化に伴って関節の変形が進みますが、先端が細い靴やヒールが高い靴を普段から履いていると変形が進みやすくなります。
靴を選ぶ際はサイズだけでなく幅も確認し、ヒールの付いた靴はなるべく履かないようにしましょう。

当院のリウマチ科について

当院の診療は、日本リウマチ学会専門医の院長が行います。
まずは問診で症状などを丁寧にお聞きし、その内容に基づいてレントゲン検査、血液検査、超音波検査など必要な検査を行います。関節痛や手のこわばりなど関節リウマチを疑う症状が生じている方はお気軽に当院までご相談ください。また、当院は日本整形外科学会専門医でもあり、関節炎の治療と同時に骨の変性変形によって生じる痛みの治療も並行して行います。