リウマチ性多発筋痛症(PMR)とは
リウマチ性多発筋痛症は自己免疫疾患の一種で、関節や筋肉に痛みを引き起こす疾患です。首や肩、肩甲骨、太ももなどの筋肉や関節に痛みや朝のこわばりが起こります。進行すると腕を上げられなくなり、寝返りも打てなくなります。また、微熱や体力低下、体重減少、抑うつ症状などの全身症状も現れます。なお、現在のところ発症の原因は明らかになっていません。
50代以上の中高年者に認められることが多く、現在の高齢化社会では発症数が増え続けています。症状が加齢によるものだと自己判断して放置され、痛み止めなどを使用しても症状が治まらず、状態が悪くなってから受診し気付くということも多いです。
関節リウマチの症状を伴っていることもあり、関節リウマチへ移行することもあります。
似たような症状を示す線維筋痛症
線維筋痛症は、3ヶ月以上にわたって全身の様々な部位に激しい痛みが生じる、あるいは繰り返す疾患です。症状は痛みのほか、こわばりや疲労感、頭痛、不眠、集中力の低下、うつ気分などの症状も伴います。原因ははっきりと分かっていませんが、免疫系と神経炎症が関与しているのではないかと指摘されています。なお、この説も確定的なものではありません。様々な検査を行っても患者様に共通する症状が認められないことから、診断が遅れることも多いです。命に関わる疾患ではないものの、完治させる治療法がないことから日常生活に多大な影響が出る恐れがあります。
リウマチ性多発筋痛症の症状
リウマチ性多発筋痛症は50代以上の中高年者に認められることが多く、急に首や肩、肩甲骨、太ももなどの筋肉や関節に痛みやこわばりが起こります。進行すると腕を上げられなくなり、寝返りも打てなくなります。また、微熱や体力低下、体重減少、抑うつ症状などの全身症状が現れることもあります。
リウマチ性多発筋痛症の合併症
リウマチ性多発筋痛症は、他の膠原病と同じく様々な合併症が起こる可能性があります。特に注意が必要なものとして巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)があります。この疾患は、こめかみ付近に炎症が起こり、発熱や視力低下、頭痛、体重減少、倦怠感などの症状を引き起こします。視力低下には注意が必要で、治療を受けずにいると将来的に失明するリスクがあります。そのため、定期的に検査を受けて合併症の有無を調べることが大切です。
リウマチ性多発筋痛症の検査
リウマチ性多発筋痛症の症状は他の疾患(膠原病、がん、感染症など)でも見られるため、確定診断にはこれら疾患の有無を調べる必要があります。そのため、尿検査や血液検査、超音波検査などを行います。
リウマチ性多発筋痛症の治療
リウマチ性多発筋痛症は主にステロイドの内服薬を用いた薬物療法を行います。リウマチ性多発筋痛症は数ある膠原病のうち、ステロイドの有効性が高いと言われており、少量でも早い場合は1~2週間で症状が落ち着きます。しかし、ステロイドを使っても病状が治まらないケースもあり、その場合は別の免疫抑制剤も併用します。
膠原病は完治が難しいと言われており、リウマチ性多発筋痛症も同様です。そのため、治療は症状が治まる寛解状態への導入・維持が目標となります。
同様の症状を示す別の疾患も多いため、適切な診断・治療を行うためにも、お悩みの症状があれば一度当院までご相談ください。
リウマチ性多発筋痛症は完治する?
リウマチ性多発筋痛症は完治が望めますが治療期間は数年に及びます。早期発見・早期治療ができれば、状態が落ち着いて普段通りの生活を送れる可能性もあります。
なお、徐々に症状が落ち着いてきたころに自己判断で治療を中断すると再発する恐れがあるため、医師の指示にしたがって治療を続けましょう。