- メトトレキサート(MTX)
- サラゾスルファピリジン(SASP)
- ブシラミン(BUC)
- タクロリムス(TAC)
- イグラチモド(IGU)
- トファシチニブ(TOF)
- バリシチニブ(BAR)
- ペフィシチニブ(PEF)
- ウパダシチニブ(UPA)
- フィルゴチニブ(FIL)
メトトレキサート
(MTX)
商品名:リウマトレックス®・メトレート®など
メトトレキサートは、高い有用性、継続性、骨破壊進行抑制効果が期待される関節リウマチ治療の基礎薬であり、最も広く使用されています。リウマチと診断を受けたらまず処方されるお薬です。免疫抑制作用があり、炎症を引き起こす物質の合成を抑え、関節の破壊を防ぎます。他の内服薬や生物学的製剤と組み合わせて使用することで高い有効性を示すと報告されています。
副作用の軽減のため、一般的に葉酸(フォリアミン®など)と併用して使用します。
使用方法
週に1~2回程度服用します。(他の5~6日は服用しない)
服用しない日を作ることで、関節に影響を与える免疫細胞のみに作用し、それ以外の正常な細胞への影響を与えずに治療が可能になります。
服用を始めてから早い方は2週間程度、多くの場合は4~8週間程度で効果を実感できます。速効性がある薬剤ではありませんが、継続して使用することが重要です。決められた曜日に服用を続けましょう。
注射製剤を利用することもできます。
副作用
肝機能障害、吐き気、食欲不振、口内炎、脱毛、白血球や血小板の減少が生じることがあります。また、稀ですが重篤な副作用に、骨髄障害や間質性肺炎、リンパ増殖性疾患、結核、B型肝炎の再活性化などが挙げられます。服用後に不調を感じた場合は早急に受診してください。
使用できない方
以下に該当する方はメトトレキサートの使用はできません。
- 重度の腎障害がある方
- 肺が弱っている方
- 妊娠・授乳中の方
飲み忘れたらどうしたら良い?
翌日・翌々日の場合は内服して問題ありません。翌週以降はもとの曜日に戻して服用を続けます。
サラゾスルファピリジン
(SASP)
商品名:アザルフィジンEN®など
サラゾスルファピリジンは、免疫反応を抑制し、関節内の炎症を軽減します。合併症や副作用があり、メトトレキサートの使用が出来ない患者様やメトトレキサート単独で十分な効果が得られない場合に併用されることが多いです。特に軽度から中等度の関節リウマチに有効です。消化器系の副作用があるため、使用開始時に注意が必要です。
使用方法
朝・夕食後に服用します。
服用を始めてから1~2カ月程度で効果を実感できます。メトトレキサートと比べると効果が劣りますが、比較的長期間、安全に使用できる薬剤です。
副作用
吐き気、下痢、食欲不振、発疹、頭痛、肝機能障害、血液の異常(白血球減少、貧血など)が生じることがあります。稀ですが重篤な副作用としてアナフィラキシー反応や重度の肝障害が報告されています。
ブシラミン(BUC)
商品名:リマチル®など
ブシラミンは、日本で開発された薬剤です。免疫抑制作用を持つ薬剤で、関節の炎症を抑えるのに役立ちます。長期的に使用することで、関節の破壊を防ぐことが期待されます。特に軽度から中等度の関節リウマチに有効です。
使用方法
朝・昼・夕食後に服用します。
服用を始めてから1~2カ月程度で効果を実感できます。
副作用
消化器系の不調(吐き気、下痢、食欲不振など)、発疹、味覚異常、爪の変色、肝機能障害、間質性肺炎が生じることがあります。また、長期使用により腎障害が生じることがありますが、服用を中止することで改善が期待できます。
タクロリムス(TAC)
商品名:プログラフ®など
タクロリムスは、免疫系を強力に抑制する薬剤で、炎症反応を改善します。合併症などによりメトトレキサートが使用できない患者様や関節リウマチが進行している患者様に対して処方され、特に重症例において効果が期待されます。
使用方法
夕食後に服用します。
副作用
消化器系の不調(吐き気、下痢、腹痛など)、腎機能障害、耐糖能異常、血圧上昇などです。
イグラチモド(IGU)
商品名:ケアラム®、コルベット®
イグラチモドは、日本で開発された薬剤で、免疫機能を調整し、炎症を抑制する薬です。関節リウマチの治療において、特に進行を遅らせる効果が期待されます。
メトトレキサートの効果が不十分な場合に使用することで、効果が期待できます。
使用方法
朝食後に服用、または朝・夕食後に服用します。
まずは25㎎から服用を開始し、4週間経過後に50㎎へ増量します。
副作用
肝機能障害、リンパ球減少などです。
ワルファリンなどの抗凝固薬と併用する際には、出血のリスクが高くなるため、注意が必要です。
トファシチニブ(TOF)
商品名:ゼルヤンツ®
使用方法
1回5mgを1日2回服用します。メトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用されます。比較的早期に効果がでることが多いですが、継続が必要です。
副作用
帯状疱疹、上気道感染などに注意が必要です。採血検査で、肝機能障害、血球減少、コレステロール値の上昇、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇などがみられることがあります。妊娠中や妊娠を希望されている場合には使用することはできません。
バリシチニブ(BAR)
商品名:オルミエント®
使用方法
メトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用されます。4㎎を1日1回服用します。比較的早期に効果がでることが多いですが、継続が必要です。
副作用
帯状疱疹、上気道感染などに注意が必要です。採血検査で、肝機能障害、血球減少、コレステロール値の上昇、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇などがみられることがあります。妊娠中や妊娠を希望されている場合には使用することはできません。
ペフィシチニブ(PEF)
商品名:スマイラフ®
使用方法
メトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用されます。150㎎を1日1回服用します。比較的早期に効果がでることが多いですが、継続が必要です。
副作用
帯状疱疹、上気道感染などに注意が必要です。採血検査で、肝機能障害、血球減少、コレステロール値の上昇、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇などがみられることがあります。妊娠中や妊娠を希望されている場合には使用することはできません。
ウパダシチニブ(UPA)
商品名:リンヴォック®
使用方法
メトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用されます。15㎎を1日1回服用します。比較的早期に効果がでることが多いですが、継続が必要です。
副作用
帯状疱疹、上気道感染などに注意が必要です。採血検査で、肝機能障害、血球減少、コレステロール値の上昇、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇などがみられることがあります。妊娠中や妊娠を希望されている場合には使用することはできません。
フィルゴチニブ(FIL)
商品名:ジセレカ®
使用方法
メトトレキサートなどの他の抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用されます。200mgを1日1回服用します。比較的早期に効果がでることが多いですが、継続が必要です。
副作用
帯状疱疹、上気道感染などに注意が必要です。採血検査で、肝機能障害、血球減少、コレステロール値の上昇、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇などがみられることがあります。妊娠中や妊娠を希望されている場合には使用することはできません。