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リウマチで使用される生物学的製剤

生物学的製剤とは

生物学的製剤は、従来の内服薬とは異なり、免疫系に関連する特定のタンパク質をターゲットにした治療薬です。関節リウマチの治療では、TNFαやIL-6といったサイトカインの働きを抑制し、炎症を軽減します。これらの薬剤は、特定の免疫反応をブロックすることで、骨破壊を防ぎ、関節の痛みを軽減します。日本では12種類の生物学的製剤(9種類の先行生物学的製剤と3種類のバイオシミラー製剤)が使用可能で、それぞれの薬剤は異なるメカニズムで作用します。
治療の開始には、まずメトトレキサート(MTX)を使用し、その効果が不十分であれば生物学的製剤の使用を検討します。生物学的製剤は、特にメトトレキサートと併用することで有効性が期待でき、関節破壊を防ぐことが可能です。
治療を継続することで、寛解となり長期間症状が安定し、骨破壊の進行を抑制できます。
ただし、生物学的製剤には免疫抑制作用があるため、感染症やアレルギー反応のリスクが伴います。特に、肺炎や結核、B型肝炎の再活性化に注意が必要で、事前に必ずスクリーニング検査を行います。また、肺炎・帯状疱疹の予防接種も必要です。適切に管理することで、安全に使用することができます。治療中に効果が得られない場合や副作用が現れた場合は、速やかに医師に相談し、調整を行うことが重要です。

インフリキシマブ

商品名:レミケード®

インフリキシマブは、TNF-α(腫瘍壊死因子α)を抑制する生物学的製剤で、関節リウマチの症状を軽減し、免疫系の過剰反応を抑える働きがあります。日本で最初に承認された生物学的製剤のため、データの蓄積が豊富で、使用方法の調整の幅が大きい薬剤です。

使用方法

点滴で投与され、最初の3回は2週ごと、その後は8週間ごとに投与を行います。

副作用

発熱、感染症(肺炎や結核など)、アレルギー反応などが報告されています。

インフリキシマブBS

インフリキシマブと同等です。

エタネルセプト

商品名:エンブレル®

エタネルセプトは、TNF-αを阻害する薬で、関節リウマチに使用されます。免疫系の異常な反応を抑え、炎症を軽減します。インフリキシマブと比較すると効果の発現が比較的ゆっくりです。

使用方法

通常は週1回の頻度で皮下注射します。自宅で自己注射も可能です。

副作用

注射部位の反応、感染症、肝機能障害、血液障害が起こることがあります。
半減期が短く、副作用が起こった際に対応しやすいことから高齢者にも使用されることがあります。

エタネルセプトBS

エタネルセプトと同等です。

アダリムマブ

商品名:ヒュミラ®

アダリムマブは、TNF-αを抑制する薬剤で、関節リウマチや乾癬性関節炎をはじめ多くの自己免疫疾患に効果があります。疾患の活動性が高く、関節破壊の進行が早いと予測される患者様には早期から使用されることがあります。

使用方法

皮下注射で、通常は2週間に1回の頻度で使用します。自宅で自己注射も可能です。

副作用

注射部位の痛み、発熱、頭痛、感染症のリスク増加、肝機能障害があります。

アダリムマブBS

アダリムマブと同等です。

ゴリムマブ

商品名:シンポニー®

ゴリムマブは、TNF-αをターゲットにした薬で、関節リウマチや潰瘍性大腸炎に使用されます。生物学的製剤の中では投与間隔が長く、投与量の調整が可能なため、患者さんの状態に合わせた投与が可能です。

使用方法

皮下注射で、4週間ごとに投与されます。自宅で自己注射も可能です。

副作用

感染症、注射部位の反応、アレルギー反応が報告されています。

セルトリズマブ・ペゴル

商品名:シムジア®

セルトリズマブ・ペゴルは、免疫系の炎症を引き起こすTNF-αを阻害する生物学的製剤です。関節リウマチや乾癬性関節炎などに使用されます。胎盤移行が少ないため、妊娠中の使用も考慮されることがありますが、必ず専門医と相談してください。

使用方法

皮下注射で、最初の3回は2週ごと、以降は4週ごとに投与されます。自宅で自己注射も可能です。

副作用

注射部位の反応、感染症、アレルギー反応が報告されています。

トシリズマブ

商品名:アクテムラ®

トシリズマブは、IL-6という炎症を引き起こす物質をターゲットにした生物学的製剤です。
関節リウマチや高安動脈炎・巨細胞性動脈炎に使用されます。日本で作られた唯一の生物学的製剤です。

使用方法

点滴の場合は月1回の頻度で行います。
皮下注射の場合は2週に1回の頻度で行います。自宅で自己注射も可能です。

副作用

感染症、肝機能障害、血液異常、胃腸障害があります。

サリルマブ

商品名:ケブザラ®

サリルマブは、IL-6受容体を阻害する生物学的製剤で、関節リウマチの症状を改善します。
一回投与量が,150mgと200mgの2種類があり、症状に応じて調整します。

使用方法

皮下注射で、通常は2週間ごとに投与されます。自宅で自己注射も可能です。

副作用

感染症、高血圧、肝機能障害が報告されています。

アバタセプト

商品名:オレンシア®

アバタセプトは、T細胞の活性化を抑制する薬で、関節リウマチを抑制する効果があります。TNFαやIL-6で効果を示さなかった患者様でも効果が期待できる場合があります。また、比較的安全性が高いと言われています。また、メトトレキサートを使用していない場合も一定の効果が期待できます。

使用方法

点滴投与の場合は、初回、2週後、4週後に投与し、その後は4週間ごとに投与します。
皮下注射の場合は週1回の頻度で投与します。自宅で自己注射も可能です。

副作用

感染症、呼吸器感染、注射部位の反応が報告されています。

オゾラリズマブ

商品名:ナノゾラ®

オゾラリズマブは、TNF-αをターゲットにした生物学的製剤で、関節リウマチの症状を改善します。炎症の強い関節へ十分に薬剤が行き届くことが示されています。

使用方法

皮下注射で、通常は4週間ごとに投与されます。自宅で自己注射も可能です。

副作用

感染症、貧血が報告されています。