ぎっくり腰(急性腰痛症)とは
ぎっくり腰は正式には「急性腰痛症」といい、何らかの動作が原因で起こる急激な腰痛の総称です。例えば、腰を捻るような動作、重量物を持ち上げる動作、横になった状態から起き上がる動作などをきっかけに起こりやすく、くしゃみによってぎっくり腰が生じることもあります。
ぎっくり腰の原因・期間
ぎっくり腰は腰の関節や椎間板に強い力が加わることによる捻挫や椎間板損傷、腰椎を支える筋肉や靭帯、腱などの軟部組織に発生した異常などが原因となることが多いです。1週間ほど安静にすることで痛みは解消することが多いですが、痛みが改善しない場合、あるいはお尻から足に痺れなどが起こり動作を満足に行えない場合は、椎間板ヘルニアや高齢者の方では腰部脊柱管狭窄症などの急性腰痛症以外の疾患が原因として考えられます。その他にも、軟骨や椎骨への感染による炎症、がんの転移による病的な骨折などが考えられるため、ぎっくり腰とご自身で判断せずにお早めに当院までご相談ください。
ぎっくり腰の主なきっかけ
- 腰を急に捻ったとき
- 重量物を持ち上げたとき
- 座った状態から急に立ち上がったとき
- ベッドから起き上がろうとしたとき
- くしゃみをしたとき
- かがんだとき
- 前屈みの姿勢になったとき
- 日頃行わないような動作をしたとき(引っ越しの荷下ろしなど) など
ぎっくり腰が発生しやすい仕事・生活習慣
- デスクワーク
- 重いものを頻繁に持ち上げる
- 中腰の姿勢で長時間作業する
- 身体の柔軟性が低い方
- 運動習慣がない方
- 体重が増えた方
- 姿勢が悪い方 など
ぎっくり腰が起きたときに注意すべきこと
ぎっくり腰では突然激しい腰痛に襲われるため、驚かれる方が多いです。なお、パニックになって動くと腰痛がひどくなる恐れがあるため、冷静になってゆっくり深呼吸しましょう。
特に、以下に示すような行動は控え、落ち着いて楽な姿勢で安静にしましょう。
- パニックになり、身体を動かす
- 痛みがあるのを我慢してストレッチを行う
- 腰を強めにマッサージする
- どこまで動くことができるかを確認する
- 入浴
- 過度な飲酒
- 過度な安静 など
ぎっくり腰の検査
診察室で椅子に座るまでの動作を見て、腰痛のおおよその状態を確認します。
その後、問診や触診を行い、痛む部分、痛みの強さ、痛みのきっかけなどをお伺いします。さらに、レントゲン検査を行って骨の変形や骨折の有無、骨同士の間隔に異常がないかなどを調べます。
痛みが続いている場合は他の疾患が原因になっていることも疑われ、レントゲンでは確認できない椎間板などの状態を調べるためにMRI検査などを実施することがあります。
ぎっくり腰の治療
安静
強い痛みが出ている場合、無理に動かずに楽な姿勢で安静にしましょう。痛みが和らいできたら、徐々に普段通りの生活に戻します。動ける状態まで回復したら、当院までご来院ください。
鎮痛剤・湿布の処方
軽症の場合は消炎鎮痛剤や湿布薬を使用し、炎症や痛みを改善させます。鎮痛剤や湿布では効果が不十分な場合は、神経ブロック注射を検討します。
神経ブロック注射
神経ブロック注射は、痛みの原因となる神経やその付近に、局所麻酔薬やステロイド薬などを含む薬剤を注射する治療で、痛みの緩和が期待できます。ぎっくり腰では、内服薬や湿布では効果が不十分な場合に選択されます。神経ブロック注射は、痛みの緩和以外に血行を促す効果も期待でき、血行不良による腰痛にも有効です。速効性のある治療のため、仕事で穴を開けられないという方にもお勧めです。
コルセットによる固定
激しい痛みが起きる急性期は、腰に負荷がかからないようコルセットで腰を固定することも効果的です。コルセットを着用することで、身体を起こす・立ち上がるなどの動作をスムーズに行えます。なお、長期間にわたって着用していると筋力が弱まるため、痛みが激しいときだけ短期間使用することが推奨されます。
ぎっくり腰の予防
ぎっくり腰を防ぐためには、姿勢の乱れを正し、腰を急に捻るような負荷がかかる動作を控えましょう。例えば、重量物を持ち上げたり前屈みになったりする場合は膝も利用するように意識し、起き上がる前には身体をほぐすだけでも効果的です。また、体重が重くなるとその分、腰への負担が大きくなるため、肥満の方はダイエットに取り組み適正体重を維持しましょう。